臨床工学部

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臨床工学部の紹介

我々臨床工学部は、2011年度より医療機器の中央管理を行なってきた。当初は輸液ポンプ、シリンジポンプ、パルスオキシメーター、人工呼吸器、除細動器、閉鎖式保育器、人工心肺、PCPS、IABP、人工透析装置の台帳整理から開始した。その後、一部の機器のメンテナンス講習を受け、定期点検や故障時点検などの保守管理業務を開始した。

先ず輸液ポンプ、シリンジポンプ、パルスオキシメーター、人工呼吸器のメンテナンス講習を修了し保守管理を開始した。この頃は定期点検を実施するスペースもままならない状況であった。数口のコンセントと少しの工具のみだった環境を少しずつ改善していただき、現在では治具も揃ってきた。環境改善で最たるものは医療ガス配管が整った旧ICUの使用許可を受けたことだろう。これを機に機器の保管スペースができ、貸出・返却の開始にもつながった。そして管理する機器の品目数・台数共に増加した。

現在では前記の機器に加え、経腸輸液ポンプ、フットポンプもメンテナンス講習を受け中央管理を行っている。また、中央管理のノウハウを活かし離床センサーや衝撃吸収マットといった医療機器ではないものも扱い、院内資源の有効利用にも貢献している。

2018年度の部署目標の一つ、「急性期医療に貢献できる幅広い知識・技術の提供」にもあるように、機器管理のみならず、医療技術の提供にも力を入れてきた。2014年度から開始した当直体制による24時間対応もその一環で、特定集中治療室管理料1に必要な基準のひとつにもなっている。24時間対応の中で求められる医療技術としては、従来提供していたものだけでは不十分であった。先ず取り組んだのは従来医師が行なっていた持続血液濾過透析(CHDF)の施行であった。これは多忙な医師の業務負担軽減にもなったと自負している。今でこそタスクシフティングと言われているが、今後も可能な限り他の分野でもこのような流れを続けていきたい。

次にマスク装着型で非挿管下の人工呼吸NPPVの施行についても工夫を行った。と、いうのもNPPVの需要は増えているが、専用機の院内保有台数には上限があり不足することが多くなった。そこで既存の人工呼吸器でNPPV実施可能な機器を使うことで不足分を補うことにした。

この他、緊急心臓カテーテル検査の際にも対応できるよう個々の技術レベルの向上に力を注いできた。これまで一部の人間しか持ち合わせなかった大動脈内バルーンパンピング(IABP)・経皮的心肺補助(PCPS)装置の操作も各自トレーニングを重ねている。

日々進歩する医療技術の裏には医療機器の進歩も同時にあることが多く、心肺停止蘇生後脳症の予防戦略として行われる低体温療法(TTM)もその一つに挙げられる。このTTMを施行する際に必要な機器の取り扱いについても、救急科より要請を受け技術の習得に努めた。これら急性期医療において必要と思われる医療機器の操作について、教育を行い部署内のレベルアップと提供可能な医療技術の均一化に力を入れてきた。なお、これらの医療技術を習得し、院内テストに合格したものだけが当直業務をおこなえる仕組みになっている。

この他、技術提供の要請は増えており、末梢血幹細胞採取に使用する機器など枚挙にいとまがない。

今後の部署運営としては、現在29品目・約1400台の機器を管理しているが、更に登録台数を増やし、院内資源の管理と有効利用に貢献すること。他職種との連携を深め医療機器や当該治療の周知にも力を入れ、患者さんにとってより良い医療技術の提供に繋がるよう努力する所存である。

24時間体制

臨床工学部では、ICUやCCU等の集中治療室や、救命救急センター、人工透析室、手術室、一般病棟と幅広い部署に関わっています。臨床での機器の操作から保守点検までを行っています。

様々な依頼やトラブルに対応できるよう、夜間・休日も365日24時間体制で緊急対応にあたっています。

手術室業務

主に心臓血管外科手術における人工心肺装置や自己血回収装置などの操作、保守、点検を行うため、1症例あたり2~3名の技士で対応しています。経皮的心肺補助装置(PCPS)、大動脈内バルーンポンプ(IABP)、手術支援ロボット『ダ・ヴィンチ』のような低侵襲治療装置などの大変重要な医療機器が多く、操作、保守、点検を臨床工学技士が行っています。

人工心肺装置の操作

心臓血管外科手術は、医師(心臓血管外科、麻酔科)、看護師、臨床工学技士のチームで手術にあたりますが、臨床工学技士は医師の指示のもと人工心肺装置の操作を担当しています。心臓や大血管を治療する場合、心臓と肺の機能を一時的に止める必要があります。停止している間の血液循環と呼吸の機能代行をするのが人工心肺装置です。血液循環は送血ポンプ、ガス交換は人工肺によって行われます。さらに人工心肺装置には出血を回収して体内に戻すサクションポンプ、心臓内の余分な血液を吸引するベントポンプ、心臓を停止させて保護する心筋保護液を注入するポンプ等で構成されています。これらの操作と管理を臨床工学技士が行っています。

また、自己血回収装置、心筋保護装置など周辺機器の操作も行います。

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自己血回収装置の操作

術野に出血した血液を血液回収装置で吸引し、filterにより塊状物の除去後、出血血液を遠心分離し、生食水で洗浄し患者に返血する自己血回収装置の操作を行っています。

手術支援ロボット『ダ・ヴィンチ』の管理

ダヴィンチシステムは、サージョンコンソールと呼ばれる操作部とペイシェントカートと呼ばれるロボットアーム部、ビジョンカートと呼ばれるモニター部の3つの部分から構成されます。

手術前日に各装置を部屋に運び入れ所定の位置にセッティング、通信ケーブルで全てを接続し動作チェックを行い装置が正常に作動する事を確認します。その他手術に使用するモニター、気腹装置、電気メス等の準備を行います。不具合の早期発見のためにも前日に準備することは大事です。

手術当日、電源を入れ前日同様動作チェックを行い装置が正常に作動する事を確認します。次にドレーピング(ロボットアーム部と3Dカメラを滅菌された専用のビニールで覆う)、カメラの画像、画質の調整、気腹装置、電気メスの確認を行います。

術中は使用物品の各装置への接続、画質の調整、ペイシェントカートの移動(ロールイン、ロールアウト)、電気メス出力調整、気腹圧調整、ボンベ交換、装置トラブル時の対処などを行っています。

術後は後片付け、装置の清掃後所定の位置へ戻し充電させて終了となります。

集中治療室・救命救急センターでの業務

血液浄化装置、人工呼吸器、補助循環装置(IABPやPCPS)など、持続血液濾過透析装置にてCHDF、血漿交換などといった生命維持管理装置の操作を通じて臨床技術サポートを行っています。生命維持管理装置の管理には専門的な技術と知識が必要なため、我々が開始から終了まで毎日動作確認を行い安全に管理していて、操作、保守、点検、トラブル対応などを臨床工学技士が行っています。

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高気圧酸素治療業務

高い気圧の下で酸素を吸入させることで、血液中の酸素を増やすのが高気圧酸素療法(HBOT)で、様々な疾患の治療に用いられます。第1種装置(1人用)が導入されていて、その高気圧酸素治療装置の操作、保守、点検を行っています。

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心臓カテーテル業務

インターベンション治療、冠動脈造影、アブレーション治療、ペースメーカー植込など循環器内科医師を中心に、看護師、診療放射線技師、臨床検査技師と共に臨床技術サポートを行っています。ポリグラフ、血管内超音波画像診断装置(IVUS)の操作や、循環補助が必要な時は、PCPS、IABPなどの機器の操作や監視を行っています。

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血液浄化業務

透析ベッド数は37床(個人用…5台 多人数用…32台)あり、毎日3クールの治療を行っています。血液透析、血液濾過、血液透析濾過、LDL吸着、PE(単純血漿交換)、DFPP(二重濾過血漿分離)、PMX-DHP(エンドトキシン吸着)、薬物吸着、L-CAP(白血球除去療法)、G-CAP(顆粒球除去療法)、BMP(造血幹細胞採取)、CART(腹水濃縮再静注)など治療の臨床技術サポートを行っています。

血液透析には、透析用監視装置と透析液を絶えず供給するためのRO装置、粉溶解装置、供給装置が不可欠です。特に水質管理が合併症の発現、予防に重要な関連性をもっており、透析液水質管理や機器の保守管理は血液透析を行う為の重要な業務です。そのためRO装置のプレフィルターや活性炭フィルターの交換、エンドトキシンや生菌の検査を定期的に行っています。日本透析医学会の透析水質管理基準値以下に設定して透析液清浄化に取り組んでいます。また、年間計画の基づき、透析用監視装置やRO装置、粉溶解装置、供給装置の保守管理、オーバーホールは臨床工学技士で行っています。

人工透析室での人工透析が主な業務ですが、病態により人工透析室に来室できない患者の為に集中治療室や結核病棟での出張透析も行っています。

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医療機器中央管理業務

輸液・シリンジ・経腸栄養ポンプ、人工呼吸器、電動式低圧吸引器などの医療機器の貸出、返却、清拭、保守点検、修理を行う中央管理体制をとっています。安全で性能が維持できるように保守・点検を行い、また集中管理をすることにより効率的で適切な運用ができるように努めています。常に安心して使用できる状態にして院内の各病棟に貸出をしています。

また、医療機器が性能を損なうことなく適切に使用されているか、また稼働状況を把握する為に、集中治療室や救命救急センター、手術室、一般病棟で使用している輸液・シリンジポンプ、人工呼吸器、補助循環装置、CHDFなどのラウンド点検を行っています。

医療機器の安全かつ適切な使用の為に、院内職員に対して医療機器の研修会など教育活動にも力を注いでいます。

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実習生の受入れと教育

臨床工学技士養成校の実習生を受け入れています。臨床実習を通じ、業務内容や仕事の厳しさや楽しさを肌で感じて、将来の臨床工学技士像を見据えることができる実習教育内容に取り組んでいます。

講習会・学会参加

新規に購入する医療機器も事前に講習会を開催し、準備方法や使用方法、点検方法、トラブルへの対応なども受講しています。また、学会や勉強会へも参加し、最新の治療法、新しい医療機器の性能や特徴などにも対応できるよう知識や技術の習得に努めています。

スタッフ

役職 氏名 認定士 所属学会
副技士長 和久 益寛 体外循環技術認定士
呼吸療法認定士
認定医療機器管理関連臨床工学技士
認定集中治療関連臨床工学技士
日本臨床工学技士会
日本体外循環技術医学会
日本人工臓器学会
主任 住本 一紀 日本臨床工学技士会
日本体外循環技術医学会
日本人工臓器学会
有馬 敬宏 体外循環技術認定士
呼吸療法認定士
透析技術認定士
認定集中治療関連臨床工学技士
日本臨床工学技士会
日本体外循環技術医学会
日本人工臓器学会
辻原 恵 日本臨床工学技士会
西村 昌紘 高気圧酸素治療専門技師 日本臨床工学技士会
日本高気圧環境・潜水医学会
日本体外循環技術医学会
樋口 彰 呼吸療法認定士 日本臨床工学技士会
日本体外循環技術医学会
吉次 絵美 日本臨床工学技士会
藤井 康行 透析技術認定士
ITE心血管インターベンション技師
日本臨床工学技士会
日本心血管インターベンション治療学会
山本 将平 体外循環技術認定士
呼吸療法認定士
透析技術認定士
日本臨床工学技士会
日本体外循環技術医学会
日本人工臓器学会
石田 真実 日本臨床工学技士会
土井 優鷹 透析技術認定士 日本臨床工学技士会
中村 達哉 臨床ME専門認定士
認定医療機器管理関連臨床工学技士
透析技術認定士
透析技能2級
植込み型心臓デバイス認定士
日本臨床工学技士会
日本医療機器学会
日本医工学治療学会
日本不整脈心電学会
中尾 総一郎 認定血液浄化関連臨床工学技士 日本臨床工学技士会
山本 日菜子 日本臨床工学技士会

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