診療・各部門
上部消化管(食道・胃)
食道がん、胃がん、食道裂孔ヘルニア、胃食道逆流症、胃粘膜下腫瘍などを中心とした、上部消化管の悪性疾患、良性疾患に対する治療を行っております。
上部消化管領域の治療は手術治療が非常に重要ですが、内視鏡による治療(ESD)、薬による治療(化学療法(抗癌剤治療)・免疫療法)、放射線治療など手術以外の治療も重要で、個々の患者さんにあわせて治療を組み立てていきます。
手術治療に関しては、がん治療ガイドラインの適応に準じて、胸腔鏡や腹腔鏡を使った「鏡視下手術」も導入し、患者さんに優しい治療を心掛けております。
胃がんに対しましては腹腔鏡下胃切除術(幽門側切除術、胃全摘、噴門側胃切除術)を約半数の方に行っており、今後さらに適応を拡大していく予定です。
また、食道がんに対しましても2020年9月より(腹臥位)胸腔鏡下食道亜全摘術を導入しております。
手術での治癒が難しい段階の場合、患者さんの生活の質(Quality of Life: QOL)を落とすような手術は回避し、症状改善やQOL向上を目指した治療(緩和治療、緩和的化学療法、緩和的放射線療法)も、選択肢の一つとして常に考慮しております。
以下に食道がんと胃がんに対する当院での取り組みにつきまして簡単にご説明いたします。
◎食道がんについて
多くはお酒、タバコと関連が深い病気ですが、この様な要因のない方でも起こります。ごく早い時期(主に粘膜層の上2層まで)に見つかれば内視鏡治療(ESD)で治すことが可能な場合が多いですが、その時期を過ぎると、早期がんでも比較的広い範囲のリンパ節に転移をする可能性があり、そのことを考慮した治療が必要です。そのため、がんのできた食道そのものに加えて、周囲の転移している可能性のあるリンパ節も治療する必要があります。
食道がんの主な治療は、手術治療(内視鏡治療(ESD)と外科手術)、化学療法(抗がん剤治療)と放射線治療です。最も根治性の高い治療を目指していますが、患者さんの希望や治療後のQOLも含めて総合的に判断し、患者さんと治療法を決めています。
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食道癌手術は時間もかかり、体への負担も大きいです。術後のQOLを重視する目的から、傷の小さな胸腔鏡手術を導入し、食道癌が治った後もできるだけよい生活を過ごしていただけるよう努めています。
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◎胃がんについて
ピロリ菌感染の減少とともに胃がんに罹られる方、胃かんで亡くなる方はゆっくり減少していますが、まだまだ日本人には多い病気です。早期がんと診断された方のうち、ごく早期にとどまる方は内視鏡治療(ESD)で治る可能性が十分あります。しかしごく早期の方を除いては胃の周りにあるリンパ節に転移する可能性が出てきますので、そのリンパ節転移も取り除く手術が必要となります。
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当院では手術が必要と判断された患者さんに対しまして、①癌をしっかり治すこと、②手術後の負担を極力少なくすること、③術後のQOLを保つこと、を考慮した適切な術式を選択しております。具体的には、I.患者さんの手術後の苦痛を極力減らすため、傷の小さな腹腔鏡手術を積極的に行う、II.手術後の体重減少や体力低下を防ぐことを目的に胃全摘を極力回避した手術を行う、などの取り組みを行っております。また、必要と判断した患者さんには手術前や手術後に抗がん剤治療を行っています。
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上部消化管良性疾患に対しましても患者さんに優しい「鏡視下手術」を積極的に行っております。
上部消化管のご病気で治療に悩まれている方はぜひご相談ください。