生殖医療について

診療・各部門

不妊症について

 不妊症とは結婚後正常な夫婦生活があり、1年以上妊娠しない場合を不妊症と言います。頻度は20 〜 45歳カップルの約15%です。女性の妊孕能(妊娠しやすさ)は加齢とともに低下することが知られています。特に35歳以上では主に「卵子の質の低下」と「卵巣予備能の低下」から妊孕能の低下が著しくなります。また男性も加齢とともに精液所見の低下が認められます。
 『不妊症かも?』と思ったら、夫婦でよく話し合い、理解し合い、早めに受診されることをお勧めします。

■ 不妊症の原因

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女性因子:卵巣因子(排卵障害など)、卵管因子(卵管閉塞など)、子宮因子(子宮筋腫など)、免疫因子など
男性因子:造成機能障害、精路障害、性機能障害など

■ 不妊症の検査

●基礎体温
排卵日の推定、排卵したことの確認、黄体機能不全等を知る参考になります。基礎体温は筋肉運動、食事、睡眠環境などに影響を受けるため、毎朝覚醒時に安静状態で口腔内で測定して下さい。一般的に排卵日は低温相の最終日または体温の陥落日とされています。体温表は産婦人科外来でお渡しします。

●クラミジア抗原(抗体)
性行為感染症の一つで、進展すると卵管炎や骨盤内炎症を引き起こします。卵管炎の後遺症として、卵管狭窄や閉塞、卵管周囲癒着などの障害をきたし、卵管性不妊症や卵管妊娠の原因となります。しかし、女性はクラミジアに罹患しても90%は無症状と言われています。子宮頚管の擦過検体からクラミジア抗原を検出します。また必要に応じ、血液検査で抗体を測定します。

●各種ホルモン検査
以下の血液検査を行います。

♦下垂体ホルモン(卵胞発育刺激ホルモン (FSH),黄体化ホルモン (LH)):
卵巣に刺激をしているホルモンです。排卵障害、卵巣予備能などの診断に役立ちます
♦プロラクチン (PRL):
乳汁分泌を司るホルモンです。高プロラクチン状態では乳汁がでることもある他、排卵障害などにより妊孕能が低下します。
♦甲状腺ホルモン (甲状腺ホルモン刺激ホルモン (TSH)、甲状腺ホルモン (fT4)):
特に甲状腺機能低下症の方は卵巣機能悪化等により妊娠しにくい状態になります。
♦卵巣ホルモン(エストラジオール (E2)、プロゲステロン (P)):
卵胞期初期のE2は卵巣機能を評価する上で重要です。排卵期のE2は卵胞の成熟度を、黄体期中期のE2, P 測定により黄体機能の評価を行います。
♦抗ミュラー管ホルモン(AMH):
卵巣内の卵胞の中にある顆粒膜細胞から産生されているホルモンで、卵巣予備能を評価する指標となります。年齢が高くなるとAMH値は低下し、「卵巣年齢」の目安になります。

●子宮卵管造影
排卵が正常に行われていても、卵管が閉塞していたり、子宮内に癒着やポリープなどの異常があると妊娠しにくくなります。そこで、子宮卵管造影を一度行っておく必要があります。経腟的に子宮へ造影剤を注入し、放射線をあてて、子宮内腔の様子や卵管の通過性を観察します。

●精液検査
4〜5日間の禁欲後、自宅で容器内へ射精し、精液を外来へ持参していただきます。なるべく2時間以内で冷たくならないよう(20度〜室温程度)注意してご持参下さい。精液量(正常1.4ml以上)、精液濃度(正常 1600万/ml以上)、運動率(正常42% 以上)、奇形率(正常 96% 以下)などの観察を行います。

●性交後検査(フーナーテスト)
排卵直前の夜に通常の性交渉を行っていただき、翌朝子宮頚管粘液中の精子数、運動率などを観察します。所見不良の場合は抗精子抗体などを検索します。

●子宮鏡検査
超音波で子宮内膜に隆起性病変などの異常が疑われる場合、子宮鏡検査を行います。細い内視鏡を用いますので、外来で麻酔なしに行います。内膜ポリープや粘膜下筋腫などを認める場合は、着床の妨げになりますので、切除を検討します。また、難治性不妊の方にも検査を勧めています。慢性子宮内膜炎が見つかることもあります。

●腹腔鏡検査
超音波などではわからない不妊原因がないかどうかを調べるため、腹腔鏡で骨盤内の観察を行います。癒着があれば剥離したり、子宮卵巣に腫瘤などがあれば摘出したりします。全身麻酔で行い、ごく小さい切開で行いますので術後の痛みはほとんどありません。短期入院が必要となります。

■ 一般的な不妊症治療

●排卵誘発法

  1. クロミッド療法:
    月経開始5日目よりクロミッド 1 ~ 2 錠/日を5日間内服していただきます。自然周期に比較して、成熟する卵胞数が増加します。多胎頻度が約8%に認められる他、まれに頭痛、視覚障害などを認めることがあります。また、子宮内膜を薄くさせ、着床障害の原因となることがあります。
  2. セキソビット療法:
    月経開始5日目よりセキソビット 4 ~ 6 錠/日を5 ~ 7 日間内服していただきます。排卵誘発効果は弱いが、副作用は少ないと考えられています。
  3. hMG(FSH)-hCG療法:
    強力な排卵誘発作用があります。卵胞が成熟したら、ヒト絨毛性ゴナドトロピン (hCG) 等を投与し、排卵させます。副作用として、卵巣過剰刺激症候群(卵巣腫大、腹水、脱水など)、多胎妊娠があります。重篤な合併症をさけるため、治療周期をキャンセルすることがあります。

●黄体機能不全の治療
排卵後の黄体期に黄体ホルモン剤の内服、hCG製剤の筋注、プロゲステロン腟坐薬等を使用します。

●人工授精(夫婦間)
夫の精子を子宮内腔へ注入する治療法です。精液検査と同様に自宅で容器に精液を採取し、外来へ持参していただきます。不純物などを除去するために、遠心分離処理を行ってから子宮内腔へ注入します。軽度の男性因子不妊、性交後検査不良例、原因不明不妊症の方に有効とされています。周期当たりの妊娠率は約10%です。費用は保険適用3割自己負担で5,460円となります。

● 手術療法について
子宮筋腫、子宮内膜症、子宮内膜ポリープ、子宮奇形、多嚢胞性卵巣症候群などに対して、適応を吟味し、ご相談の上、なるべく低侵襲な手術療法を行います。

■ 多嚢胞性卵巣症候群に対するさまざまな治療

 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS) とは、小さい卵胞が卵巣にたくさん認められ、排卵障害を伴うことが多いため、月経不順や不妊の原因となります。不妊症の場合の治療法は一般的にはクロミフェンやFSH 製剤を投与し、排卵誘発を行います。しかし、クロミフェンでは排卵に至らないことも多く、FSH 製剤投与により卵胞発育が過剰に刺激され、卵巣過剰刺激症候群(卵巣が腫れあがり、腹水がたまり、血液が濃縮される病気)のリスクが高くなります。
 PCOS中には、インシュリンが効きにくい状態(インシュリン抵抗性)の方がいます。空腹時血糖とインシュリンを評価し、インシュリン抵抗性ありと判断した場合は、経口血糖効果薬のメトフォルミンを服用し、排卵率の改善を期待することがあります。
 当院では、腹腔鏡下で卵巣表面に穴を開ける手術(腹腔鏡下卵巣多孔術)を行っています(図)。この治療を行うと薬に対する反応性が改善したり、自然排卵が期待出来るようになります。手術効果は1〜2年程度持続すると考えられています。

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生殖補助医療について

卵巣から卵子を採取し、夫の精子と受精させ、受精卵(初期胚〜胚盤胞)を子宮内に移植する方法です。

◇調節卵巣刺激

生殖補助医療を行うには、採卵でより多くの卵子を得ることが成功の鍵となります。そのために様々な薬剤を用いた調節卵巣刺激を実施しています。当院で実施している調節卵巣刺激、およびその特徴は以下のとおりです。

  1. GnRHアゴニスト ショートプロトコール
    月経開始直後からGnRHアゴニスト(点鼻薬)を開始します。経済的負担がロングプロトコールに比べて少ないこと、多くの採卵数が期待できること、などが利点です。当院ではこの方法を最も多く行っています。
  2. GnRHアゴニスト ロングプロトコール
    月経開始の約7日前よりGnRHアゴニスト(点鼻薬)を開始します。LHサージを確実に抑制できること、卵胞のサイズが揃いやすいこと、機能性嚢胞ができにくいこと、採卵日を調節しやすいこと、多くの採卵数が期待できること、などが利点です。
  3. FSH + GnRHアンタゴニスト
    月経開始直後からFSH刺激を開始し、刺激6日目または最大卵胞径14~16mmとなったらGnRHアンタゴニスト投与を開始します。治療期間が比較的短く、LHサージを確実に抑制できること、が利点です。
  4. クロミフェン + hMG 低刺激
    月経開始直後からクロミフェンを内服し、hMG刺激を少し追加する方法です。GnRHアンタゴニストを途中から加えることもあります。通院日が少ないこと、経済的負担が少ないこと、卵巣過剰刺激症候群のリスクが低いこと、が利点です。

    当院では上述の4プロトコールがほとんどです。患者さんの状態によっては、以下のプロトコールを選択することがあります。

  5. 自然周期
  6. クロミフェン
  7. GnRHアゴニスト ウルトラロングプロトコール
  8. その他

卵成熟トリガーは、採卵2日前の21:30にhCG: 5000 ~ 10000単位を注射します。自己注射(オビドレル®️)も選択できます

◇採卵時の麻酔

卵胞の穿刺はなるべく細い針を用いて行うため、疼痛は少ないですが、なるべく患者さんの苦痛を少なくするため、以下の麻酔を行っています。

  1. 静脈麻酔
    穿刺する卵胞数が比較的多い場合に用います。ジアゼパム、プロポフォールを用いた麻酔方法で、眠った状態で採卵を行います。採卵後、2〜3時間の安静が必要です。
  2. 局所麻酔
    穿刺する卵胞数が少ない場合に主に用います。痛み止めの坐薬も併用します。採卵後早く帰宅できることができます。

◇媒精、顕微授精

 通常、精子に問題がなければ、卵子に精子をふりかける「媒精」という方法で受精をさせます。運動精子の数が少なかったり、受精障害が疑われる患者さんには「顕微授精 (ICSI)」を行います。顕微授精とは、1個の精子を卵細胞内に注入する方法です。当院では2019年よりPIEZO-ICSIを導入し、良好な授精率を得ています。顕微授精による受精率は、条件にもよりますが、90%程度です。

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(プライムテックホームページより)

◇胚移植、胚凍結・融解

 基本的には採卵後約5日目まで培養し、胚盤胞の状態で移植を行います。患者さんの状態など応じて、新鮮胚移植あるいは凍結融解胚移植を行います。細いカテーテルを子宮内に挿入し、1〜2個の胚を子宮内に移植します。通常痛みはほとんどありません。30分間の安静後、帰宅していただきます。着床に適さない状態(子宮内膜が薄い、エストロゲン・プロゲステロン高値など)や卵巣過剰刺激症候群が懸念される場合などでは全胚凍結を行います。凍結融解胚移植ではホルモン補充周期で移植を行います。

◇アシステッドハッチング

 着床率の向上を目指して、レーザーアシステッドハッチングを行うことがあります。着床率向上を目的に、レーザーを使って胚周囲の透明体という殻を薄くし、ハッチング(孵化)しやすくします。

◇子宮内フローラ検査

 これまで子宮内は無菌と考えられていましたが、次世代シークエンサーを使った新しい方法で調べてみると膣などに比べて量は少ないものの、子宮内にも細菌が存在することがわかってきました。子宮内フローラ(細菌叢、様々な細菌が共存した状態)は、通常善玉菌であるラクトバチルス菌が優位ですが、悪玉菌が増殖すると子宮内膜で有害な免疫反応が起きてしまい、受精胚を異物として攻撃してしまう可能性が指摘されています。子宮内フローラ検査で悪玉菌が異常に増えている場合、妊娠率や生児獲得率が低下することが報告されました(Moreno et al, AJOG, 2016)。
 当科では生殖補助医療で良好胚を移植しても妊娠出産に至らない患者さんを対象に子宮内フローラ検査を実施しています。本検査は、子宮体癌検査用の細胞採取器具を用いて子宮内腔液を採取します。検体からDNAを抽出、すべての細菌のDNA配列を解読し、細菌の存在量を推定します。結果が出るまでに約3週間かかります。尚、この検査は保険対象外のため費用は自己負担(税込35,000円)となります。 当院で体外受精を行い、2回以上良好胚を移植しても妊娠に至らなかった患者さん(反復着床不全)に対して、子宮内フローラ検査を行うと、59%の方に子宮内フローラの異常が認められました。子宮内フローラの結果が悪かった場合は、抗生剤内服による除菌+善玉菌が増えるようにラクトフェリン服用で加療を行っています。子宮内フローラ良好の反復着床不全患者さんは、最終的に75%の方が妊娠されました(山縣芳明他, 現代産婦人科, 2019年)。

◇タクロリムス療法

 体外受精で良好胚を何度移植しても妊娠しない場合や習慣流産の方は、母体の免疫異常が原因かもしれません。受精卵・胎児に対する免疫拒絶反応が強く、着床後の免疫学的な受け入れが十分に行われていない可能性があります。
 免疫を担当するリンパ球の一種であるヘルパーT細胞は抗原の種類によってTh1とTh2に分化し、免疫拒絶反応と免疫寛容に重要な役割を持ちます。生体内ではこれらTh1/Th2細胞のバランスにより、免疫機能が調節されています。
 Th1/Th2細胞を測定することにより、生体の免疫応答の良否を推定することができます。妊娠成立にはTh2優位な状態が重要であり、Th1免疫反応は受精卵・胎児拒絶をもたらします。従って、Th1/Th2で異常高値が認められた場合、この拒絶反応を抑えるために免疫抑制剤のタクロリムス を用いて、母体の胎児拒絶を抑制します。当院ではTh1/Th2高値 (10.3以上) 不妊不育症患者さんに対してタクロリムスを投与し、不妊・不育症治療成績の向上を目指します。
 Th1/Th2測定、タクロリムス療法は自費診療となります。

◇血小板由来成分濃縮物-凍結乾燥 (PFC-FD) 療法

 着床期の子宮内膜が薄いために、着床がうまくいかないことがあります。一般的に着床期の子宮内膜が6 mm以下では明らかに着床率の低下が認められます。今まで種々の方法が試みられていましたが、子宮内膜を厚くし、妊娠率を良くする確立された治療方法はありませんでした。
 このような薄い子宮内膜の患者さんに対し、自己の濃縮血小板を子宮内に移植し、着床率を高めることが期待できる自己多血小板血漿療法 (Platelet-Rich Plasm: PRP療法)が開発されています。PRPには組織修復を促す様々な成長因子が含有されており、その組織修復作用を利用して、子宮内膜の厚くし、機能を高めます。
 対象となる患者さんは、体外受精で得られた凍結胚盤胞が既にあり、薄い内膜が認められる方です。方法は、まず患者さんから50 mlの採血を行います。PRPを作製し、成長因子(PDGF, TGF-beta, VEGF, EGF, FGF, HGF, IGF-1)を濃縮、無細胞化、フリーズドライ加工します(血小板由来成分濃縮物-凍結乾燥 Platelet-derived Factor Concentrate-Freeze Dry: PFC-FD)。ホルモン補充融解胚移植周期の胚移植前に蒸留水で再懸濁したPFC-FDを、1〜2回子宮内へ注入します。融解胚移植などは通常の方法で行います。
 PFC-FD療法の費用は自費診療となり、血液採取時:110,000円(税別)、PFC-FD子宮内注入時:8,000円(税別)となります。

◇子宮内膜胚受容期検査

 胚が子宮に着床する時期は、着床の窓 (WOI: Window of Implantation)と呼ばれる短い期間であることが知られています。WOIのタイミングは、ほとんどの女性で予想できますが、反復着床不全の女性の30%はWOIにずれがあることがわかっています。これが良好胚が着床しない原因である可能性があります。ご自分のWOIを知り、精度の高いタイミングで胚を移植することで、体外受精での妊娠成立の可能性が高まります。
 ERPeak子宮内膜胚受容期検査は、予定している胚移植時期(プロゲステロン投与から5日後 (P+5)) における子宮内膜検体の遺伝子発現プロファイルを解析します。この検査結果をもとに移植予定時期に子宮内膜の状態がどの時期にあるのかを特定し、適切な胚移植時期を決定します。
 この検査は自費診療となり、¥71,500円(税別)となります。

◇治療成績

治療2015-2021

当院では胚移植のうち、約7割が凍結融解胚移植となっています。
臨床的妊娠率(超音波で胎嚢を確認)は以下のとおりです。

過去4年間(2018年〜2021年)治療成績

29歳以下 30〜34歳 35〜39歳 40歳以上 合計
症例数 49 130 159 99 437
症例あたり妊娠率 74.5% 62.9% 52.1% 33.7% 53.6%
29歳以下 30〜34歳 35〜39歳 40歳以上 合計
採卵件数 60 130 192 143 525
採卵あたり妊娠率 50.0% 59.1% 33.7% 15.9% 35.5%
29歳以下 30〜34歳 35〜39歳 40歳以上 合計
胚移植件数 82 169 225 147 623
胚移植あたり妊娠率 43.9% 38.5% 31.1% 19.7% 32.1%

◇体外受精関係料金一覧表

2022年4月より生殖補助医療に保険適用が開始されました。かかった医療費の3割が自己負担となります。費用は個人差が大きいため、総額見込は外来担当医までお尋ね下さい。保険適用の対象は、42歳以下で、胚移植実施回数が6回(40歳未満)または3回まで(40歳以上)となります。
下記の金額の3割が自己負担となります。高額療養費制度により1ヶ月の医療費が上限額を超えた場合には、その超えた額は高額療養費として支給されます。

◉生殖補助医療管理料(1):3,000円(月に1回)

◉採卵料:32,000円
 採卵数に応じて以下を加算
 (1個):24,000 円
 (2 ~ 5個):36,000 円
 (6 ~ 9個):55,000 円
 (10個以上):72,000円

◉体外受精・顕微授精管理料
 体外受精:42,000円(顕微授精を行う場合は 21,000円+以下の料金)
 顕微授精:
 (1個):48,000 円
 (2 ~ 5個):68,000 円
 (6 ~ 9個):100,000 円
 (10個以上):128,000円

◉受精卵・胚培養管理料(初期胚まで培養の場合)
 (1個):45,000 円
 (2 ~ 5個):60,000 円
 (6 ~ 9個):84,000 円
 (10個以上):105,000円
 受精卵・胚培養管理料(胚盤胞まで培養の場合、上記に以下を加算する)
 (1個):15,000 円
 (2 ~ 5個):20,000 円
 (6 ~ 9個):25,000 円
 (10個以上):30,000円

◉胚凍結保存管理料(導入時)
 (1個):50,000 円
 (2 ~ 5個):70,000 円
 (6 ~ 9個):102,000 円
 (10個以上):130,000円
 胚凍結保存管理料(維持) 35,000円/年

◉胚移植料
 (新鮮胚移植):75,000 円
 (凍結・融解胚移植):120,000円

◉アシステッドハッチング:10,000 円

その他、排卵誘発費用、黄体ホルモン補充費用、ホルモン測定などの検査費用などがかかります。

不育症について

 妊娠はするものの流産を繰り返してしまい、赤ちゃんが得られない状態を不育症と呼びます。3回以上連続して繰り返す流産は精密検査が必要と考えられています。

◇不育症の原因

 いろいろな原因が考えられますが、検査をしても残念ながら原因がわからないこともよくあります(図)。当科で施行可能な検査は以下のとおりです。検査や治療の詳細は遠慮なく外来担当医にご質問下さい。

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◇不育症に対する様々な検査(保険適応外のものもあります)

子宮形態異常に対する検査:超音波検査、子宮卵管造影、MRI
自己免疫異常に対する検査:抗カルジオリピン抗体、ループスアンチコアグラント、抗核抗体、抗DNA抗体、抗PE抗体、抗PS抗体、NK活性、Th1/Th2
血液凝固異常に対する検査:APTT, 第XII因子, プロテインS活性、プロテインC活性
内分泌異常に対する検査:黄体ホルモン、甲状腺ホルモン、プロラクチン、血糖
感染症に対する検査:クラミジア抗原
染色体異常に対する検査:夫婦染色体G分染法
その他:ビタミンD、亜鉛など

思春期・若年がん患者さんに対する妊孕能温存について

若くしてがんになった患者さんに対しては、手術、化学療法、放射線治療を中心とした集学的治療を行い、多くの患者さんはがんを克服されています。しかし、化学療法や放射線治療の影響によって妊孕能(妊娠するための力)が低下することがあります。2021年から開始された国の事業「小児・AYA世代のがん患者等に対する妊孕性温存療法研究促進事業」により、がん患者さんの妊孕能温存治療に対する経済的なサポート制度が導入されました。当院では、胚凍結、精子凍結を実施しています。

参考になるサイト:「妊孕性 がんの治療と生殖機能への影響について」(国立がん研究センターがん情報サービス)