診療・各部門
乳腺外科
乳腺外科を新設しました
これまで外科の中で乳腺診療を行ってきましたが、2020年6月に新たに乳腺外科を開設しました。
乳腺外来の受付は月曜から金曜の午前。乳がんをはじめとする乳房のさまざまな病気に対する診療を行っています。
乳房の異常が気になる方、乳がん検診で二次精査が必要になった方、かかりつけ医から受診をすすめられた方などの、診療のほか、乳がんの術後ケアにも対応しています。乳腺の良性腫瘍や乳腺症、乳腺炎などの疾患についても受診していただけます。
こんな症状はありませんか?
- 乳房や脇にしこりがある
- 乳房の形や大きさに左右違いがある
- 乳頭から血性の分泌液が出る
- 乳房をつまむとえくぼができる
- 乳房に生理前だけではない痛みがある
- 乳首にただれができたり治ったりを繰り返す
乳がんにかかりやすい人
乳がんは女性で最も患者数の多いがんで、日本人女性の9人に1人が罹患するといわれています。2018年の新規乳がん患者数は年間およそ9万人。
2021年の死亡者数は約15,000人で女性のがんでは第5位となっています。
乳がんの大きな要因のひとつは遺伝です。血縁者が乳がんにかかった人は遺伝的に乳がんになりやすい可能性があります。
また、女性ホルモンであるエストロゲンが関係しているともいわれており、下の条件にあてはまる人は、特に注意が必要です。
- 血縁者が乳がんにかかった
- 初経年齢が早い
- 閉経年齢が遅い
- 初産年齢が遅い
- 出産や授乳経験がない
- 授乳期間が短い
- 閉経後の肥満
- 長期の女性ホルモン剤の使用
- 飲酒、喫煙の習慣
乳がん治療はここまで進んでいます!
当院の乳がん手術は、年間平均120例。乳腺専門医・指導医・外科専門医資格をもった医師が中心となって行っています。
以前は乳房にどんな小さながんができでも乳房をすべて切除していました。しかし最近は、腫瘍の大きさが3センチ以下で、術後に乳房の整容性が保たれると判断できた場合、患者さんの希望があれば部分切除をします。
いわゆる乳房温存手術です。患者さんの約40~50%がこの手術を受けています。乳房全切除(全摘)を受けた方も、希望があれば山口大学病院を紹介して、形成外科専門医により人口乳房(シリコン)や自分の筋肉などを用いた再建手術を受けることが出来ます。
昔は、腫瘍の取り残しがないように、脇の下のリンパ節を全部摘出していたので、術後に手術側の腕が腫れたり(リンパ浮腫)、腕の運動障害が発生したりしていました。しかし、ステージⅠ・Ⅱの患者さんの90%にはリンパ節への転移がみられません。
そこで近年は、乳房にできたがん細胞が最初にたどり着くリンパ節(センチネルリンパ節)に転移がない、あるいは転移がごくわずかであると、リンパ節の手術は省略します。当科ではICG蛍光法という特殊なカメラを用いており、センチネルリンパ節をほぼ100%の確率で見つけることができて、放射性物質も使わなくてすみます。
また、進行・再発患者さんでは数百の遺伝子を一度に網羅的に解析する遺伝子パネル検査により、個々の患者さんに効果が期待できる薬剤を探し出すことも積極的に行うようにしています。
乳がんと遺伝
遺伝性乳がんの治療も進歩しています。乳がんに罹患した年齢、乳がん・卵巣がんの家族歴、乳がんのタイプなどから適応のある患者さんでは、BRCAと呼ばれる遺伝子を調べることができます。
変異がみられた場合には、遺伝カウンセリング、がんが発症していない反対側の乳房の予防的切除、卵巣切除が受けられるようになりました。
当院でも、臨床遺伝専門医による遺伝子診療科にて遺伝カウンセリングを行っています。2020年4月からは、遺伝性乳がんの一つである遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)に対する遺伝子検査や予防的切除には保険が適用されるようになり、患者さんの金銭的負担が軽減されるようになりました。
手術後のフォローアップも万全
手術後は、手術側の上肢を挙げる訓練を理学療法士が行い、自宅でできるリハビリの方法を紹介します。退院後の乳房のケアについては、外科病棟看護師が説明します。
外来で上肢のむくみなどが見られた場合は、リンパ浮腫セラピストおよび外来看護師による治療相談を受けることができます。さらに、開業医の先生と乳がん術後の地域連携診療も開始し、よりきめ細やかなフォローアップ体制を整えています。
定期的な検診で早期発見・早期治療を!
2022年国民生活基礎調査によると、山口県の40~69歳女性の乳がん検診受診率は34.8%と全国でワースト1位。乳がんを自分の問題として認識していない人が多く、検診受診率がまだまだ低いのが現状です。
乳がんは、世界的に研究が進んでいる疾患です。治療はどんどん進歩し、新しい薬剤も毎年開発されています。早期に発見して適切な治療をすることで完治する病気です。
また、乳がんは自分で触って発見できる唯一のがんです。定期的な自己チェック、さらに40歳を過ぎたら2年に1度の乳がん検診を必ず受けましょう。怖いからといって放置しているのが一番よくありません。気になる症状がある方は必ず病院を受診しましょう。
年間手術件数
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
---|---|---|---|---|---|
乳腺切除 | 92 例 | 116 例 | 132 例 | 129 例 | 152例 |
主任部長 山本 滋 |
昭和62年卒 資格:日本乳癌学会乳腺専門医/指導医・日本外科学会専門医/指導医・日本がん治療認定医機構がん治療認定医・マンモグラフィ読影認定医・乳がん検診超音波検査実施/判定医師・がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了・日本乳癌学会評議員・日本乳癌検診学会評議員・日本乳房オンコプラスティックサージェリー学会評議員・山口県生活習慣病検診等管理指導協議会 乳がん部会委員・山口大学医学部臨床准教授 所属学会:日本乳癌学会・日本乳癌検診学会・日本乳房オンコプラスティックサージェリー学会・日本外科学会・日本臨床外科学会 |
---|
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | |
---|---|---|---|---|---|
午前 | 山本 滋 | 担当医 | 山本 滋 | 担当医 | 担当医 |
午後 | 山本 滋 | 担当医 | 山本 滋 | 担当医 | 担当医 |
外来診療について
乳腺外科へご紹介の場合は、かかりつけ医から当院の地域連携室を経由して事前予約をお願いいたします。
外来診療について
乳腺外科へご紹介の場合は、当院の地域連携室を経由して事前予約をお願いいたします。