新型出生前診断(NIPT)

新型出生前診断(NIPT)

当院は
『新型出生前診断(NIPT)の
認証基幹施設』です

新型出生前診断(NIPT:Non-Invasive Prenatal Testing非侵襲的出生前遺伝学的検査)の認証基幹施設とは、この検査を実施することが認められた医療機関のことで、一定の基準を満たしている施設です。日本でNIPTを行うためには、特定の基準を満たす施設であることが必要であり、その基準をクリアした施設が「認証基幹施設」として認定されます。

新型出生前診断(NIPT)とは

新型出生前診断(NIPT)は「非侵襲的出生前遺伝学的検査」とも呼ばれ、従来の出生前診断とは検査方法、リスク、精度において異なります。従来の出生前診断には、主に羊水検査や絨毛検査があり、これらは確定的な診断が可能ですが、検査(子宮に針を刺す検査)自体に流産のリスクが伴います。一方、新型出生前診断は、母体の血液を使って胎児の遺伝的情報を分析するため、流産のリスクがなく、安全性が高いという特徴があります。

NIPTでわかること・わからないこと

NIPTは、胎児由来のDNAが母体の血液中に微量に存在していることを利用し、主な染色体異常のリスクを高精度で評価します。
対象となる染色体疾患は、ダウン症候群(21トリソミー)やエドワーズ症候群(18トリソミー)、パトウ症候群(13トリソミー)です。検査は妊娠9〜10週以降に実施可能で、早期に胎児の状態を知ることができます。
生まれてくる赤ちゃん100人中に3〜5人ほどは先天的な疾患をもって生まれてきます。この中で染色体が原因の疾患は約25%で、NIPTの検査対象である3つの染色体疾患は、さらに約70%です。このことを計算してみると、3つの染色体疾患のある赤ちゃんは、100人あたり0.7人程度となります。

図.先天性疾患の頻度と染色体疾患
(Thompson & Thompson Genetics in Medicine 8th Edition Saunders 2016; Wellesley D, et al. Eur J Hum Genet 2012: 20:521)

NIPTは検査精度が高く、ダウン症候群の検出精度は99%以上とされていますが、すべての遺伝的異常に対応しているわけではなく、主に染色体異常に焦点を当てています。検査結果が陰性であっても完全に異常がないことを保証するものではないため、結果に基づいた適切な医師の判断とカウンセリングが重要です。

NIPTを受けられる条件

  • 妊娠10週目以降
  • 妊娠35歳以上の高齢妊娠
  • 過去に染色体異常がある子どもを出産したことがある
  • 両親に一定の染色体異常がある
  • 超音波検査や母体血清マーカー検査などで異常が疑われた

NIPTはスクリーニング検査であり、すべての妊婦が受けられるわけではありません。受診には医師の診断が必要で、基本的には母体に特別な健康問題がない限り、妊婦であれば実施可能ですが、合併症や重篤な疾患がある場合には、事前に医師と相談する必要があります。
検査を受けるためには、カウンセリングを受けた後に、妊婦本人および配偶者が揃って同意することが求められます。また、検査結果に基づく対応については、十分に話し合うことが推奨されます。

判定後の受け止め方とその後の判断

NIPTは母体の採血のみで実施できますが、胎児の染色体疾患を出生前に調べる検査です。「陰性」以外の結果がでることで、さまざまな困難に直面する可能性があります。

NIPT陽性
NIPT「陽性」とは、3つのトリソミーのうち
いずれかの可能性が高いという結果です

NIPTでは診断を確定できません。診断を確定するためには、羊水検査や絨毛検査を受ける必要があります。

羊水検査・絨毛検査[確定的検査]

羊水検査は妊娠15週目以降に行い、母体から羊水を採取して胎児の細胞を解析する方法です。絨毛検査は妊娠10〜12週目に行い、胎盤の絨毛を採取して遺伝情報を調べます。これらの検査は腹部に針を刺して行うことが多く、一定の流産リスクを伴いますが、結果は非常に高い精度です。

・羊水検査

・絨毛検査

「陽性」でもその染色体疾患ではない場合もあります(擬陽性といいます)。例えば、35歳の妊婦さんの「21トリソミー陽性」という結果の場合でも、実際に赤ちゃんがダウン症候群ではない確率は約20%あります。
「陽性」の結果であった場合、結果に関する詳しい説明やその後の対応について遺伝カウンセリングを受ける必要があります。

NIPT陰性
NIPT「陰性」とは、3つのトリソミーのうち
いずれかの可能性が低いという結果です

3つのトリソミーではない確率はいずれも99.9%以上ですが、100%否定できるわけではありません。非常にまれですが、「陰性」の結果が出たとしても染色体疾患のある場合(偽陰性)があります。「陰性」であっても、胎児が他の先天性疾患である可能性は否定されません。

NIPT判定保留
NIPT「判定保留」とは、「陰性」か「陽性」か判断できないという結果です

わが国のデータでは0.3〜0.4%の確率で「判定保留」となることがあります。
その後に取りうる対応(再度NIPTを行う、NIPTでの検査をあきらめる、羊水検査などを行うなど)について再度相談する必要があります。

遺伝カウンセリングについて

NIPTは、高精度で染色体異常を検出できる非常に有益な検査ですが、その結果がもたらす影響は妊婦さんとご家族にとって大きいため、検査を受ける前に十分に理解しておくことが重要です。当院では、NIPTを受ける前に遺伝カウンセリングを実施し、検査の内容や結果の意味を詳しく説明しています。

遺伝カウンセリングでは、以下の内容を中心にお話しさせていただきます:

NIPTの目的:
検査の目的や、どのような染色体異常が検出できるのかについて説明します。
検査結果の解釈:
陽性・陰性の結果がどういう意味を持つのか、また陽性結果が出た場合の次のステップ(確定診断のための羊水検査や絨毛検査等)について説明します。
検査を受けるかどうかの判断基準:
ご自身の健康状態や妊娠経過に基づいて、NIPTが必要かどうかを一緒に考えます。
心理的・感情的なサポート:
検査を受けることによる不安やストレスについてもお話し、どのように心の準備をするかをご一緒に考えます。
検査を受けることが最適かどうかは、ご自身とパートナーがしっかりと納得した上で決定することが大切です。NIPTを受けることで安心できる方もいれば、逆に結果がもたらす精神的な負担を心配される方もいらっしゃいます。また、NIPTを受けなくても、妊娠をしっかりと支える方法はたくさんあります。

検査前の遺伝カウンセリングを通じて、NIPTのことをよく理解し、ご自身とパートナーにとって必要であるかどうかを十分に納得した上で、実際に検査を受けるかどうかを決めていただければと思います。

NIPTを受けるかどうか、どんな結果が出ても、それがご夫婦の意志での決断であることを最大限に尊重し、サポートさせていただきます。どんな選択をされても、私たちはしっかりと寄り添い、最適な医療と心のサポートを提供いたします。

当院では、産婦人科担当医師のほか、臨床遺伝専門医、出生前コンサルト小児科医、公認心理師、助産師がカウンセリングを担当します。

費用について

111,100円(カウンセリング費用込み)

・カウンセリングのみの場合 11,000円
・保険適用外のため自費診療になります