令和5年11月1日
医療関係者 各位
地域医療推進機構 徳山中央病院
心臓血管外科
主任部長 池永 茂
謹啓、時下ますますご清祥のことととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、この度心房細動に対する新しい低侵襲アプローチである、ウルフ・オオツカ手術(Wolf-Ohtsuka:WO手術)を徳山中央病院で開始しました。この手術は5mmから10mm程度の4箇所の傷(ポート)だけで完全胸腔鏡下に左心耳を閉鎖します。心臓内に異物も残らないため、術後に心房細動が持続しても抗凝固療法を中止できることが最大の利点です。
心房細動を有する患者において左心耳が血栓形成の好発部位であり、心房細動患者の脳梗塞の原因の90%が左心耳内の血栓とされています。この手術の開発者である大塚博士のデータによると左心耳切除を行われた心房細動の患者さんは、抗凝固療法を中止後の脳梗塞発症率は年間0.25-0.5%とされています。併せて外科的なアブレーションも同時行うこともできます。出血のリスク等の副作用、高齢・認知症、腎機能障害などの医学的理由や社会的・経済的理由から抗凝固療法継続が困難な心房細動患者にはとても有用な手術であると考えております。
ご質問、お問い合わせ等がありましたら、ご連絡いただければ幸甚です。
ウルフ・オオツカ手術の適応
- 抗凝固療法を受けているが、出血・貧血などの副作用や高齢・認知症・腎機能障害などの医学的理由(あるいは社会的地位・経済的理由)により、有効な治療を継続するのが難しい方
- QOLが損なわれている/我慢を強いられている方
- 脳梗塞予防のため抗凝固療法を受けていて(あるいは近い将来必要である)、アブレーション治療の適応もある方
ウルフ・オオツカ手術のメリット
- 低侵襲
- 抗凝固療法を離脱できる
- 高い脳梗塞予防効果
謹白
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