心房細動に対する新しい低侵襲アプローチである、ウルフ・オオツカ手術が徳山中央病院でも受けられるようになりました。この手術は5mmから10mm程度の4箇所の傷(ポート)だけで完全胸腔鏡下に左心耳を閉鎖します。
● 心房細動とは
人口の高齢化に伴い、心房細動の患者様の数は年々増加し、日本では100万人以上とも言われています。心房細動は危険な不整脈で、頻脈や徐脈などにより心不全を起こしたり、前触れもなく脳梗塞などの塞栓症を起こす可能性があります。そのため心房細動を発症した患者様には血栓予防のために抗凝固薬を内服する治療が行われています。
● このような症状でお困りではありませんか?
①出血などで抗凝固療法が困難
②抗凝固療法を行っていたのに脳梗塞を発症した
③高齢で薬を飲み忘れる
④カテーテルアブレーションを行ったが再発した
心房細動を有する患者において左心耳が血栓形成の好発部位であり、心房細動患者の脳梗塞の原因の90%が左心耳内の血栓とされています。この手術の開発者である大塚博士のデータによると左心耳切除を行われた心房細動の患者さんは、抗凝固療法を中止後の脳梗塞発症率は年間0.25-0.5%とされています。併せて外科的なアブレーションも同時行うこともできます。出血のリスク等の副作用、高齢・認知症、腎機能障害などの医学的理由や社会的・経済的理由から抗凝固療法継続が困難な心房細動患者にはとても有用な手術であると考えております。
● ウルフ・オオツカ手術のメリット
・患者さんの負担が少ない(低侵襲)−胸腔鏡で傷も小さく、人工心肺を使用しません
・脳梗塞の予防効果が高い−確実に左心耳を閉鎖します
・抗凝固療法を中止できる−出血でお困りの患者様に効果的です